NeverLand Musical Factory
SAKAI KAZUNARI
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 馬を運送する会社の社長が主人公。といっても大きな会社ではなく、10人くらいの従業員を抱え、必要があれば自分でも運転をする男だ。彼は、元騎手で引退してこの会社を興した。業務は順調であるが、主人公自身の胸にはまた騎手である若い自分への「未練」が残っていて、そこがちょっと泣かせるところである。本当はもうひとつ泣かせる設定があって、とっくにそれが読後に大きな余韻を残すのだけど、それについてはここで書かない方がいいだろう。

 そういった要素もあり、使用人を雇っている立場であるということもあり、いつになく大人の雰囲気を漂わせている主人公である。それがなかなかの魅力で、恋愛シーンひとつにしても抑制が利いていて味わいが深い。それでいて、犯人を追いかける部分や自分の生き方に対するこだわりなどは、いつものフランシスの主人公らしく、秘めた情熱のようなものが感じられて、いつも以上に魅力的な主人公像だと思う。

 物語はまさにタイトルどおりで、誰が、何を、どうやって密輸しているかが次第に明らかになっていく。それにつけても、フランシスという作家の勉強熱心なことには頭が下がる。時代を丁寧にふまえながら、新しい要素を丁寧に勉強し、これしかないという形で物語に生かしている。元騎手という作者のプロフィールをみれば、競馬の世界に造詣が深いのは当然だが、それと同じようにまったく別のジャンルの知識を組み込んでいて、驚くしかない。

 それほど派手な作品ではないけれど、じっくりと読ませる傑作である。

2013-02-02



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Princeps date: 2013-02-02 (Sat) 18:48:57
Last-modified: 2013-02-02 (Sat) 18:50:16 (JST) (2542d) by KAZU
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