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SAKAI KAZUNARI
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KAZU さんの日記

2019
2月 9
(土)
17:58
TV「3年A組」第一部 とてもおもしろいのに、背景にある教育についての感覚に違和感があり、次第に不快感に近いものになった。
カテゴリー  演劇や音楽の話
本文
「3年A組」、第一部が終わる5話までみた。テレビでは珍しい密室系のサスペンスっぽかったのでかなり楽しみにしてみていたんだけど、2話くらいから生じた違和感が、最後には不快感に近いものになって終わった。

 教室の中の緊張感、WEB世界の無責任な感じ、とってもリアリティがあった。スクール・カーストの感じとか見ていて嫌になるけど、目を背けちゃいけないって気持ちになるほど、リアルで胸に響いた。正直、毎回ドキドキしていた。

 それに比べて教室外の、学校や警察の描き方は、とんでもなく非現実的で、極端に言えば馬鹿にされているような気持ちにさえなった。明確なコミックリリーフの部分はまだ許せるんだけど、「絶対にこんな対応はしない、あり得ない」と机をひっくり返したくなるような場面が多くて、笑うより怒りがこみ上げてきた。

 でも、教室の中で描かれる世界が心に迫ってきて、若手俳優の、すごい達者なわけではなくても、あの年頃にしかできないような切実な名演技に心を奪われて、けっこう楽しみに見ていた。

 が、5話になるともうダメだった。行き着くところ、これは露骨な「体罰」の物語なんだって感じてしまったからだ。作中でも「犯罪」という言葉が使われていて、確かに主人公のやっていることは犯罪であると共に、さまざまなものを傷つける暴力だと思う。人の精神をなんだと思っているんだろう。「実はこうでした」って言われてさらっと直るほど、人間の精神って強くないと思う。あんな経験したら、一生トラウマになる生徒、たくさんいるはず。あの先生が口で言っていることと正反対で、かなりの生徒の未来をつぶしてしまう行為だと感じた。

 僕自身の勝手な定義かもしれないが、「体罰」には2つの要件がある。ひとつは「相手のためだ、指導のためだ」という錯覚、または思い込みが加害者側にあること。もうひとつは「罰」であることだ。前者がなければ「ただの」暴力、後者がなければ、語弊はあるけど「行き過ぎた指導」というものだと考えている。この物語の主人公には、たしかに自分の行為は生徒のためと考えているように描かれている。罰を与えるという意味合いは後になればなるほど薄れていくようだから、ほんとうは「体罰」というより「きわめて行き過ぎた指導」というべきなのかもしれない。いずれにせよ、暴力であり、犯罪であることに変わりはない。

 物語を見る限り、生徒たちは、最終的にこの暴力を肯定しているように見える。「わたしたちのため」という言葉で、かなりのものを受け入れてしまっているように感じた。そしてそれを支えているのが、先生の持つ肉体的な事情である。その切実さがあるから、極端なことも肯定される。これでは、「おまえたちのために俺は殴る、これが転勤する俺の最後のはなむけだ」とかいうフレーズを、うんと極端にしただけに過ぎないのではないか。いや、密室に拘束し恐怖をテコに自己批判を迫る手法は、遠くは浅間山荘事件、さらには自称宗教団体の洗脳合宿を思い出してしまう。「感動」が最後についてくる構造はなおさら。

 登場人物を「いやなやつだ」とか避難したいわけでは必ずしもない。犯罪者ではあるけど一生懸命なんだなって思う。クライムストーリーは嫌いじゃない。演じる俳優はすばらしいと思う。生徒役の俳優もそう。ただ、番組を制作した側に、こういうのを「教育的」ととらえた上で、生徒がこういうのに感動し改善するって思っている意識があるとすれば、わりとつらい。確かに人間心理をよく捕まえた台詞が多いし、「そう、そこが承認願望!」とか合いの手を入れたくなってしまうんだけど、ねえ、本当に大丈夫?って思う。「ただの犯罪」って印象を視聴者に与えないようにいろんな設定を乗っけてくるけど、そういう設定のひとつひとつが、暴力を肯定する材料になるという考えがあるとすれば、それはむしろ怖い。先に書いたように、この数日間の経験がどれだけ若者の精神を荒廃させうるか、あまりにも無神経だと僕は感じたし、その無神経さの土壌の上に、ある種の犯罪や暴力を許容する風潮があるのではないかと思えてならない。

 この先どうなるのかへの興味はあるのだけど、こんな違和感や不快感をもってまで、このセ見ることができるか不安である。生徒役の人たち、みんな魅力的で、リアルで、目が離せないのは確かなんだけど。
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