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with BACCHUS - リアルな「その人」に、身体と声を貸してあげよう

リアルな「その人」に、身体と声を貸してあげよう

カテゴリ : 
芝居作りのノウハウ » 役者の鍛錬 » 「役作り」をする
執筆 : 
KAZU 2021-5-29 16:56
 もしも僕が先日の稽古の帰り道に死んでしまったとして、そしてその日の稽古で僕が話したことだけがメモとして残されていたとして、数年後の誰かがそのメモを見て、「この人はこんな人だったんじゃないかな」って想像したら、どんな僕が描かれるだろう。

 台本を読んで役作りをするのはそれに似ている。もちろん台本の中に出てくるのは架空の人物であり、本当にその人がどんな人なのかは作者でもなければわからない。いや、作者ですら本当はわからないのだろうと思う。

 その人の話す言葉は、その人の意思と感情と人柄を反映している。実際に僕らが話す言葉を考えてみよう。べつに僕らは、自分の意思・感情・人柄のすべてを表現しようと思って話すわけではない。「その本を取って」というJ言葉には「本を手に取りたい、でも自分ではやりたくない」という意思が含まれており、それがこの言葉を発する理由だろう。しかし同時に、その時の感情(ちょっと不機嫌)やその人の人柄(面倒くさがり)をも知らずに表現してしまっている。
 ひとつの台詞ではわからないことも、台詞の組み合わせや他の人との関係から察することができる。言っていることが次々変わる登場人物なら「この人は気まぐれなのかな」と思うだろうし、丁寧に話す相手に対して投げかける乱暴な言葉から「人の気持ちに鈍感なのかな」とか想像することもできる。後者の場合は、自分が演じる役だけではなく、相手役の人物像まで考えないといけないから大変だけど、役者にとって必要なことであるのは確かだ。こんなふうにして、役者は、登場人物の感情や人柄がにじみ出ているはずの台詞を分析し、その人がどんな人なのかを探っていく。それが「役作り」の前半だ。ちなみに後半は、そうしてイメージできた人物像をどう表現するかという話になるが、それはまた別の機会に。

 たいした作家ではなくても、台本を書こうと思えばいろいろ考える。頭の中にかなりリアルに登場人物がいて、その人が話している言葉を書き取っているような気持ちになることもある。登場人物のある側面(性格・状況等)を観客に伝えるために的確な台詞をウンウンとうなりながら考えたりすることもある。きわめて雑に適当に書き殴ってしまうことがないとは言わないけれど、「おはよう」と「あ、おはよう」と「おっはよう」みたいな言葉の違いは、作者の中にいる登場人物の性格を現していて、いわば作者から演じる役者のメッセージでもある。「あ、おはよう」と言う登場人物は、「おはよう」ではいけない何かがあるわけだし、それを役者がくみ取って表現してくれなければ、観客にも結局は伝わらない。だから、台本書きは「キャッチしてくれ」と祈るような気持ちで書き、役者を見ているのである。

 芝居の面白いところは、作者が書いた台本を読むうちに、作者の中にいる登場人物とはまったく異なる人間を役者が創りあげてしまうことがあることだ。それは間違いでも作者に失礼なこともなく、演劇の持つすてきなところだと僕は思う。僕が「脚本」とか「戯曲」とかではなく「台本」という言葉を好んで使うのはそのためで、作者が提供するのは「土台」、その上にどんな建物を建てるかはスタッフ・キャストにかかっていて、それが演劇の魅力だ。登場人物のことで言えば、作者が描き出すイメージが半分、それを受けて役者が自分自身の解釈や個性を踏まえて表現するのが半分で、どちらの半分も絶対必要だと思う。で、ちょっと油断をすると自分の解釈や個性に甘えて、もう半分を突き詰めるのを怠ってしまうのは気をつけないといけない。

 舞台に出ている時だけしか生きていない人はいない。今回の登場人物も、みんなと同じように授業受けたり、親とケンカしたり、将来の夢があったり、気になる異性がいたりするはず。それをリアルにイメージできますか?台本から読み取れるところは隅々まで探して読み取って、足りないところは自分なりの想像力で補って、「その人」に命を吹き込んであげてください。「その人」を大好きになり、友だちになってあげてください。そして、自分の身体と声を、きもちよく貸してあげてくださいな。
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高校演劇部の顧問として、部員に向けて書いた「演劇部便り」です。演劇づくりに関するマニュアル的なものから組織作りのようなこと、個人的な想いを書いたものまで内容はさまざまです。一応ジャンル分けをしていますが、特定の項目についてお知りになりたいときには、単語で検索をしていただいた方が、興味ある情報を見つけやすいかもしれません。

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