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with BACCHUS - 演技はキャッチボール

演技はキャッチボール

カテゴリ : 
芝居作りのノウハウ » 演技とはなにか
執筆 : 
KAZU 2021-5-15 10:39
 地道に半立ち稽古を積み重ねているうちに、まだ時々ではあるけれど、それぞれの役者の表現が化学反応を起こして舞台の空気が熱くなっていく瞬間が出てくるようになって、何だかとても嬉しくなってしまった。

 客観的に分析するなら、役者の表現がくっきりとしていて、それがちょうどいいタイミングとちょうどいい大きさで観るものに伝わってくること、それぞれの役者の表現が舞台にいる他の役者にきちんと伝わり互いに影響し合っていることが明確に感じられること、とでも言えばいいのだろうか。サッカーやラグビーの、チームが勢いにのっている時のパス回しによく似ているような気がするし、卓球やテニスの、上手なプレイヤーどうしのラリーに似ているようにも思う。芝居ってすてきだなって思う瞬間である。(もちろんそれが演劇の唯一の在り方ではないし、まったく異なるアプローチもあることを忘れずに)
 このような状態をみんなでつくっていくにはどうすれば良いか。自分自身の「演技力」(あいまいな言葉だけど)を磨くのも大事だろうけれど、それと同じかそれ以上に、自分以外の役者の表現に注意をはらうことが大事だと僕は思っている。わかりやすくするためふたりの役者による会話を例に挙げれば、相手の言葉に返事をするのは、キャッチボールにたとえることができる。

 相手の役者の表現に注意をはらわず、自分がどう表現するかだけを考えるのは、投げられたボールを見もしないで、自分の好きなところにミットを構えているのと同じである。キャッチできるわけがない。まずは相手に投げてほしいところにミットを構えるかもしれないが、実際にボールが飛んでくればそれをよく見て、取れる場所に手を伸ばさなければだめだ。山なりのボールかスピードボールかによっても、構える場所や構え方は変わるはずだ。

 受け取ることができないのは論外だけど(だから、スローボールと言わずにキャッチボールを言うんだろうな)、同じ受けるならビシッと気持ちのいい音を出して受け取ってあげたい。投げた方も気持ちが良いだろうし、自分自身もそうだ。周りから見ている人だってその方がいいだろうし、できるならミットにボールが当たる音だけじゃなくて、全身で「いい球だったよ」って表現したいものだ。

 そしてダラダラせず、ボールを受けた勢いを殺さないようにボールを投げ返す。できるだけ相手がミットを構えたところへ。できるだけ強くできるだけ基本は素直に。投げたら返球に備えて体と心の準備をする。この繰り返しだ。

 こういうことをやるためには心と体に緊張感が必要だ。弛緩していては動けない。常に相手とボールと自分自身に注意をはらっておかなければならない。逆に緊張感があるからといってガチガチに固まっていても駄目だ。相手がどんなボールを投げてきても柔軟に対応しなければならないのだから、自然体というか、いつでも動けるように、動かなくてすむのならそのまますっと立っていられるようでなければならない。これは体も心も同じである。

 ふたりで向き合って行うキャッチボールではなく、みんなで輪になってボールを回す時も同じだ。いつ自分にボールが来てもいいようにボールから目を離さないのはもちろん、参加している全員の動きや状態に気を配り、たとえば誰かがキャッチミスをすればボールを拾いに行くとか、誰かが自分に向けて投げるなら受け取りやすい場所に動くとか、誰かとぶつからないように立つ場所を変えるとか、そんなことを常にしていることになる。ついでにいえば、ボールはひとつではない。「台詞」というボールはまあひとつのことが多いけど、同時に「台詞以外の表現」というボールが役者の数だけ、あるいはそれ以上回っていることを忘れないことだ。

 最後に、演劇には台本があるから、実際にはどんな順番でボールが回されるかはわかっているのだけれど、それは役者がわかっているだけで、そんなことは知らないのが登場人物であるのを忘れないこと。次に自分に向かって質問が来ると役者はわかっていて準備をしていても、その役者が演じる登場人物はその瞬間までそんなことを知らずびっくりしたりするのである。緊張感というのは、そんなことも含めてのことだと理解してほしい。
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高校演劇部の顧問として、部員に向けて書いた「演劇部便り」です。演劇づくりに関するマニュアル的なものから組織作りのようなこと、個人的な想いを書いたものまで内容はさまざまです。一応ジャンル分けをしていますが、特定の項目についてお知りになりたいときには、単語で検索をしていただいた方が、興味ある情報を見つけやすいかもしれません。

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