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with BACCHUS - 芝居で使う小道具の条件はなんだろう

芝居で使う小道具の条件はなんだろう

カテゴリ : 
芝居作りのノウハウ » 小道具担当者の仕事
執筆 : 
KAZU 2021-5-11 18:42
 芝居で使う小道具の条件はなんだろう。

 当たり前だけど、そのものに見えること。ポケットから手帳を取り出すなら、ちゃんと手帳を取り出したように見えなければならない。当たり前すぎるほど当たり前なのだけど、このあたりでまず考える必要がある。小道具として手帳を使うなら、本物の手帳を使えばよいという話、一見正しそうだし正しいことも多い。ただし、これが「どんな」手帳かということになれば、登場人物の性格とか時代背景とかをきちんと考えないと変なことになる。「僕がいつも使っている手帳を使えばいいからさ」というのは、さまざまな理由で良いとは言えない。さまざまな理由のひとつが「それはあなたの性格と今の状況が反映したあなたの手帳であって、登場人物のものではない」ということだ。あなたが黒い手帳を愛用していても登場人物はカラフル好きかもしれないし、あなたが一昨日手帳を買ったとしても登場人物は10年も使い込んでいるかもしれない。
 もうひとつ知っておきたいのは、演劇において「そのものに見える」というのは、現実世界での出来事とちょっと異なっている場合があるってことだ。極端なことをいうと、現実世界で木の小さな板をスマホだと言い張るとちょっとおかしいと思われそうだけど、舞台の上では白く塗っただけの木ぎれでスマホを表現することはできる。これは衣装とか大道具も同じで、箱馬2つが豪華な王座になってしまうのが舞台の魔法、その魔法の源が人間の持つ想像力である。これはとってもステキなことだと僕は思うんだけど、ただし過信したり手抜きの言い訳にしたりしてはいけない。役者が思い込むだけではなく観客の想像力をかき立てなければならないし、そのためには演技力や演出力が必要だ。スマホは「かまぼこ板」だけど同時に使っているパソコンは本物だったりするような統一感のないデザインも考えものだ。観客の頭の中は「?」で一杯になるだろう。芝居全体と通して統一したデザインの様式を定めて置いた方がいい。

 僕は時々「そのものに見える」こと以上に大事だと思うのは、丈夫で扱いやすいことだ。危険がないというのも含めてほしい。どんなにキレイでおしゃれで登場人物や時代設定にぴったりで簡単に手に入るとしても、家にあるきれいなガラスのコップを小道具に使うことは反対する。割れたら危険だし、芝居で使う時にも運搬したりする時にも神経を使う。仮に何かを犠牲にするにしても百均で売っているような透明プラスチックのコップを探した方がいいし、それも無理なら上記のデザイン様式をしっかり考えた上で空き缶を白く縫ってしまった方がまだましかもしれない。

 僕は、芝居に使う小道具はできるだけ早い段階で稽古場に持ち込んでほしいと考えている。手に持つべきものは早く手に持ってもらった方が役者の演技が作りやすいからだ(あるつもりのマイムで組み立てた演技がものを持ったとたんに崩れてしまうのも素人の我々にはよくあることだし)。

 ただ、そうやって持ち込むものは、必ずしも本番で使う完成品である必要はない。一度作ったり準備したりした小道具は、変えることが難しいからだ。芝居作りが進んで行くにつれて、役者の演技も変わってくるし、全体の解釈などが変わってくることもある。だから初期の段階で「これで良い」と思ったものが、本当にそのまま上演まで使えるかどうかはわからない。そういった意味で、仮の小道具というのはあっていいと思うし、そういうものを使いながらが、最終的に使うもののイメージを固めていったり時間をかけて準備したりして良いと思う。この場合の仮の小道具は、「そのものに見える」ってことはあまり重視しすぎなくてもいいけれど(役者の使っている時の感覚は終始してあげてほしい)、「丈夫で扱いやすい」は絶対だ。

 と、ここまでが絶対に頭に置いておいてほしいこと。次はお金の話とか、管理方法とかの話になるべきだろうけど、その前に「そのものに見える」のプラスアルファとして、「汚し」というものを知っておいてほしい。僕らが手元で使うものは、箱から出したばかりの新品であることはあまりない。使えば使うほど汚れるしくたびれる。ある程度写実的な様式で作る場合には、その汚れとか使用感も含めてものは存在しているのだということを意識できればした方がいい。そんなことまで考えられると、スタッフが生みキャストが育てた小道具は、みんなの宝物になるはずだ。
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高校演劇部の顧問として、部員に向けて書いた「演劇部便り」です。演劇づくりに関するマニュアル的なものから組織作りのようなこと、個人的な想いを書いたものまで内容はさまざまです。一応ジャンル分けをしていますが、特定の項目についてお知りになりたいときには、単語で検索をしていただいた方が、興味ある情報を見つけやすいかもしれません。

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