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with BACCHUS - バトン

バトン

カテゴリ : 
第1期 » 部活動運営 » 顧問からメッセージ
執筆 : 
KAZU 2009-4-1 22:05
 本校演劇部の顧問になって驚いたことのひとつは、スタッフをとても大切にすることだった。正直言ってその頃の僕には、「芝居をやるのは役者」であるというイメージの方が強かったように思う。もちろん、スタッフは大切だしスタッフワークは好きだったけど、やっぱり心のどこかに「従」であるイメージがあった。だから、スタッフとキャストを対等に考えていくような雰囲気には少しびっくりして、でも前顧問から受け継いだ財産として大切にしようと思った。外から見ているときにはいつも、この学校のすばらしいスタッフワークに感動していたのだ。

 あれからずいぶん時間がたって、スタッフとキャストは対等であるという意識は僕自身の信念のようなものになっている。実際、今KIMIGEKIを見てみれば、ほぼ同じだけの時間をかけていると思う。スタッフ・キャストが完全分業できるような団体ではないことを前提にして、「スタッフ時間」というものが常に確保され、時には稽古なしの作業オンリーの日が存在しているのは、うちの演劇部の特徴のひとつであろうと思っている。
 精神的なもの、特に敬意の方向性のようなものは絶対にある。まずキャストの希望があり、力のある(語弊のある表現だけど)メンバーが意中のキャストを手にし、余ったものが涙をのんでスタッフをやる、なんて話を聞くと、どうも釈然としないのである。キャストもスタッフも、ひとつの舞台を作るために必要な役割だし、そこに上下はない。確かに、結果として「キャストをやりたい」という人ばかりがメンバーであるということはあるのかもしれないけど、それでも「スタッフとして舞台を支える」ということに全員が誇りを持ってほしいと思う。何より、いろんなものに興味を持つ人がおでんの具のようにバラエティ豊かに集まっている(そしておいしいツユが味をまとめる)団体でありたいと僕は思ったりするのである。

 スタッフワークは、継続性がとても大切である。知識と経験がものを言うし、その知識というものはそう簡単に転がっているものでもないからだ。見よう見まねで演技をすることはできるかもしれないし、天才的なひらめきを見せる役者がいるかもしれないけれど、見よう見まねでホールとあつかったら危険きわまりないし、天才的なひらめきで釘を打てる人はいない。地道に、経験と知識を増やしていくとが絶対に必要なのだ。

 だから、スタッフの仕事のかなりの部分は、先輩から後輩へひとつひとつ引き継がれていくものに支えられている。本校の倉庫には先輩たちがそろえてくれたたくさんの機材があるけれど、たとえばフォグマシンひとつとったって、使用方法がわからなければただのゴミだ。間違った使い方をして壊してしまえばなおさら。それどころか、周囲のものを壊したり人を傷つけたりする危険物にすらなりえる。だからこそKIMIGEKIにはたくさんの手作りのマニュアルがある。宝物だと思う。みんなも、引退までに1枚でいいから、ずっと使ってもらえるマニュアルを残すことを密かな目標にしてほしいと思う。

 誰かが言っていた。「キャストというのは、すばらしいセンスを持つ生徒が1人入部すればぐっとよくなるが、メンバーに恵まれないとぐんと落ちる。でもスタッフの仕事にはそういうムラがない」。反論したくなるところもいくつかあるけど、たぶんその通りだと思う。先輩から後輩へと引き継がれていくスタッフとしての知識や経験、そして意識はどんな時でも部を支えてくれる。その代わり、一度消えてしまうと復活させるのが本当に難しいものだ。僕らですら(というのは偉そうだけど)、先輩たちが残してくれたものの半分も使いこなせていないのかもしれない。ほんの数年で「宝の山」は「瓦礫の山」になり得る。もちろん、機材に責任はなく、使う人間の問題なのだ。そういう意味で、スタッフのする活動というのは本当に大切で、演劇部そのものを支える太い幹のようなものだ。キャストは表方で花かもしれないけど、幹がない花はしばらく美しくてもすぐに枯れてしまうし、次の花が咲くこともない。

 実は、それはスタッフワークだけのことではない。挨拶ひとつにしても、時間の守り方とか、掃除の意識とか、ホールで身のこなしとか、話し合いこととか、部活動を形作っているのは、そういうひとつひとつの具体的なものたちだ。そのようなものすべてが、先輩から後輩へ引き継がれ、改良を加えられてきた大切な財産なのだ。

 君らはバトンを受け取った。磨きをかけ改良を加え、次にバトンを渡してほしい。汗と涙でぐちゃぐちゃになりながらね。
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with BACCHUS とは

高校演劇部の顧問として、部員に向けて書いた「演劇部便り」です。演劇づくりに関するマニュアル的なものから組織作りのようなこと、個人的な想いを書いたものまで内容はさまざまです。一応ジャンル分けをしていますが、特定の項目についてお知りになりたいときには、単語で検索をしていただいた方が、興味ある情報を見つけやすいかもしれません。

2期に分かれています。第1期は2002年9月から2009年3月まで。少しでも高いところに登ろうと必死で自らを鍛えていた演劇部でした。「with BACCHUS」の内容もわりあいハードで、量もとても多いです。第2期は2013年から書き始め現在進行形です。動き始めたばかりの演劇部、演劇初心者がほとんどの部員たちにわかりやすいように書いているつもりです。

質問や感想などのコメントをお待ちしています。

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