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with BACCHUS - 発射台

発射台

カテゴリ : 
第1期 » 部活動運営 » 顧問からメッセージ » 本番を終えて
執筆 : 
KAZU 2009-2-23 19:01
 言うまでもないけれど、僕は学校の先生という仕事をしている。クラス担任をやっていれば、文化祭などのクラス企画というものがあり、生徒会顧問をやれば文化祭や予餞会など様々な学校行事がある。もちろん僕は演劇部の顧問であり、君たちと一緒にいろんな舞台に取り組んでいる。

 今、何となく「顧問」という言葉を使ったのだけど、この「顧問」という立場が自分にとってはあいまいで、それなりに悩んだ時期もあった。

 僕自身の性格の問題なのかとは思うのだけれど、たぶん自分には「黙って見守る」的な立場はなかなか難しいような気がする。たとえ全く畑違いのことを任されたとしても、何とか勉強してできる気になって、いっぱしの口を挟んでしまうと思う。たぶん、生徒にしてみれば迷惑なことで、陰でバカにしたりするんだろうけれどね。
 だからといって、自分自身の目標を追求するために生徒を使うような立場にもなりたくはないと思う気持ちがある。これがたとえば「勝つ」ということが最大の目的になるような単純なことであれば(運動部だって実際にはそんなに単純ではないのだけれど)、「先生の言うとおりにすれば勝てるんだ!」みたいなコーチ的顧問もありなのかもしれない。あちこちの高校演劇部を眺めていても、顧問が演出家・主催者で、生徒がメンバーである劇団のように見えてしまうところもある。そういう見方が正しいとは限らないのかもしれないし、そういう部活動のあり方がよくないと言うつもりもないけれど、何となく僕はそういうのが好きになれないのも確かだ。

 演劇だったり、クラス発表だったり、行事の企画だったりといったものは、どういうことをやるのかと言うことについて様々な選択肢があり、それぞれに優越がつけがたい。ミュージカルをやるのか時代劇をやるのかというのは、ほとんど好みの問題であって、どちらかでなければいけないと言うことはない。クラスで飲食店をやるのかプラネタリウムをやるのかなんてことも同じだ。もっともっと細かい点でも、たとえば役者の演技の質とかBGMの入れ方とか、絶対的に正しいと言い切れないことがたくさんある。

 そういう中で、「これが正しい」と顧問が言い切ってしまうことに対するためらいは、僕の中に常にあるのだ。だから僕は、「こうするのがいいよ」と言うよりは、「こうしたいのなら、こうやるとうまくいくんじゃないかな」なんて言い方を自分の原則にしようと考えるようになった。目的ではなく手段について、アドバイスが出来るようでありたいってことだ。実際には、「目的」と「手段」というのは、そう明確に分けられるものではなく、また見方によって、ある段階での「手段」が別の段階での「目的」になったりすることもあるわけだけど。

 ちなみに、そうやってアドバイスが出来るのは、多分単純に経験の多さによるんだと思っている。高校生は3年間だけど、学校の先生はもっともっと長い時間できるからね。うちの学校の予餞会実行委員長なんて、最初が最後なんだからわからないのが当たり前、それを補うのが顧問であるって思うのだ。

 そういう意味で僕は、顧問としての自分の役割を「ロケットの発射台」にたとえたい。ロケットは君たちである。どこへ向かって飛んでいくかを決めるのは君たちであり、発射スイッチを押すのも君たちである。自分自身を飛翔させるエネルギーそのものも君たちの中にある。発射台は、一番最初の所で君たちを支えるのが仕事である。

 発射台がぐらぐらしていてはロケットはまっすぐに目的の場所へ飛んでいけない。その一方で、発射台が飛ぶ方向を決めてはいけないけど、目的が決まっているなら、それをしっかりとサポートしていたいと思う。決めなきゃだめだってことも言うかもしれない。さらに、ロケットの種類や持っているエネルギーによって、必要な発射台の長さも異なってくるだろう。場合によってはずいぶん先の方まで寄り添っていることが必要になるかもしれない。

 一番大事なのは、当たり前のことなのだけど、「発射台の先端より先」まで行かないと飛んだことにはならないと言うことなのである。たとえわずかであっても、発射台が切れたその先を、ロケットは自力で進まなければならないのだ。発射台の長さが、ロケットの飛行距離の限界を決めてしまっていは絶対にいけないし、逆に発射台から離れたとたんにロケットがぽとりと落ちてしまったのでは何のための発射台なのか全くわからないことになる。飛ぶのはロケット自体なのだ。その飛翔がとてつもない勢いをもって、発射台が思いもしなかった彼方へ届くものであれば最高だ。

 君たちが自ら定めた目的に向かって、自信を持って飛翔することが出来るように、僕はがっちりした発射台でありたい。それと同時に、僕自身も一台のロケットとして、可能であれば君たちの手本になれる存在であれるようにいつもしっかりしていたいと思う。
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with BACCHUS とは

高校演劇部の顧問として、部員に向けて書いた「演劇部便り」です。演劇づくりに関するマニュアル的なものから組織作りのようなこと、個人的な想いを書いたものまで内容はさまざまです。一応ジャンル分けをしていますが、特定の項目についてお知りになりたいときには、単語で検索をしていただいた方が、興味ある情報を見つけやすいかもしれません。

2期に分かれています。第1期は2002年9月から2009年3月まで。少しでも高いところに登ろうと必死で自らを鍛えていた演劇部でした。「with BACCHUS」の内容もわりあいハードで、量もとても多いです。第2期は2013年から書き始め現在進行形です。動き始めたばかりの演劇部、演劇初心者がほとんどの部員たちにわかりやすいように書いているつもりです。

質問や感想などのコメントをお待ちしています。

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