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with BACCHUS - 卒業に寄せて

卒業に寄せて

カテゴリ : 
第1期 » 部活動運営 » 顧問からメッセージ » 卒業の日に
執筆 : 
KAZU 2008-3-7 12:47
 卒業式であった。卒業よりも引退のほうがひとつの区切りだと思ったり、引退の時にはまだ卒業したわけではないしと思ったり、じたばたといろんなことを考えつつ、今日の日を迎えている。いい卒業式だったと思う。なによりも体育館中に響くような卒業生の返事が、何かを完璧に言い表しているように感じた。

 ふたつのことを書く。

 2年前の春だったと思う。部員一同と一緒に「KABUKU」という芝居を見た。現代風の味付けがいっぱいつまった痛快娯楽時代劇である。見終わった時、「これがやりたかったんだ」という、何というか難しい数学の問題がやっと解けた時のような快感というか落ち着きというか、そういうものが胸の中にこみ上げてきたのを覚えている。そして、そう感じたのは自分だけではなくて、当時の1年生も一緒だったんだとすぐにわかって、驚くと同時にとても嬉しくなった。結局それが「翼、はるかな君へ」という芝居へつながったのであり、酒井個人としてもまた台本を書き始めるきっかけになったわけだ。あの芝居をみんなで見ることがなければどんなことをやっていたのだろうと思うと、なんだか不思議な気持ちがする。
 たぶん、何かと出会うということはああいうことなのだと思うのだ。もちろん、あの芝居自体の持つ魅力が、僕の気持ちに強く訴えかけてきたということはある。それが一番根本の所だとは思う。しかし、たとえそれがどんなにすばらしいものであったとしても、又自分にぴったりのものであったとしても、こちらのほうに受け止める準備がなければ、ただそれは目の前を通り過ぎるだけのものになってしまう。「これいい!」と感じるためには、「いい」と思えるものを探し続けていく時間と、何が「いい」のかを感じられるだけの自問自答の日々が必要なのだと思う。

 そういう意味で、あのときの1年生があの芝居に出会えたのはとても幸せなことだったと思うし、それと同時に、それまでの1年間があったからこそ、あのような出会いができたのだと思う。ああいう出会いがあって本当によかったと思うし、僕自身もそのことから多くのものを学ばせてもらった。そういう出会いをこれからもたくさんしたいし、たくさんしてほしい。そのためにも探し続けてほしいし、通り過ぎた時にキャッチできる準備がいつもできているようであってほしいと思うのだ。

 考えてみれば、今日卒業するメンバーは、顧問の台本をもっともたくさん取り上げた世代であるはずだ。探すのが面倒だったんじゃないの?とつっこみたくなるのは冗談として、少なくとも顧問の側から見れば、自分の台本をやってもらって嬉しいメンバーだったし、このメンバーが取り組んでくれるなら書きたいな、と思ってしまうような顔ぶれであった。

 それはどんなところかといえば、もう崩壊寸前なくらい見事に個性がバラバラで、しかもどいつもこいつも我が強くて、それでもチームであり続けたところだと思う。入部して数ヶ月のうちに「今年の新入部員は態度がでかい」なんて声にならない声があったくらいで、いろんな意味で心配もした。さらに、5人が最後まで崩壊寸前でとどまりチームであり続けたのが不思議なくらいで、それはやっぱり、5人それぞれが、(たとえ気にくわないところが山ほど合ったにしても)かけがえのない一員であるということを、5人全員が(しぶしぶであるにせよ)認めざるを得なかったからではないかと僕はにらんでいる。そして、この世代の最大の強さ、武器もそこにあったと思っている。

 きちんとやった気になろうと思えば、いい子になろうと思えば、我慢したり妥協したりする方が楽に決まっている。小さく小さく、最大公約数でまとまるのが一番良い。重なる部分、折り合える部分でまとまるのは簡単けど、それは全員の力を足し合わせたものよりも絶対に小さくなる。個人の総和を超えるものを集団で創ろうとすれば、重ならない部分、折り合えない部分を捨てないで、無理矢理にでも他人を巻き込む努力をせざるを得ないのだ。

 演劇部などというのは、当然ながらごくごく小さな集団だ。そこでできたことが、広い社会に出た時にできるとは限らない。でも、その中でしてきた努力の方法は、かならずどこへ行っても通用するものだ。他人と違うことを恐れず、自分と違うものを拒否せず、安易にまとまることよりも戦いの後の収穫を信じて、自分自身を大きく広げてほしい。KIMIGEKI以上のチームを作り上げてほしい。

 卒業おめでとう。明日の君たちを楽しみに見ている。
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with BACCHUS とは

高校演劇部の顧問として、部員に向けて書いた「演劇部便り」です。演劇づくりに関するマニュアル的なものから組織作りのようなこと、個人的な想いを書いたものまで内容はさまざまです。一応ジャンル分けをしていますが、特定の項目についてお知りになりたいときには、単語で検索をしていただいた方が、興味ある情報を見つけやすいかもしれません。

2期に分かれています。第1期は2002年9月から2009年3月まで。少しでも高いところに登ろうと必死で自らを鍛えていた演劇部でした。「with BACCHUS」の内容もわりあいハードで、量もとても多いです。第2期は2013年から書き始め現在進行形です。動き始めたばかりの演劇部、演劇初心者がほとんどの部員たちにわかりやすいように書いているつもりです。

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