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with BACCHUS - 傘をさす

傘をさす

カテゴリ : 
第1期 » 芝居作りのノウハウ » 芝居作りの気持ち
執筆 : 
KAZU 2008-2-14 8:44
 朝、仕事で通学路に立っていた時の話である。心当たりのある人がいるよね。小雨の中傘も差さずに歩いている部員が何人もいて、ショックを受けた。みんなの中からも体調管理なんて話があった数日後だ。「家を出ている時には降っていなかった」「このくらいなら大丈夫」ということかもしれない。前者は無計画で後者は無責任だ、と僕は思う。風邪ひとつ引いたことがない人が言うなら、それなりの説得力もあるんだけどね。そうじゃないし。

 仕込みやばらし、荷物移動の時に雨が降ると憂鬱になる。僕らが使う機材の中には濡れては困るものがたくさんあるからだ。電気関係のものは当然だが、装置などにしても濡れてしまったら壊れたりするものがあるし、衣装だってそうだ。一見濡れても大丈夫そうなものですら、その水気を舞台に持ち込まないためには、濡らさないように気を配らなければならない。そのために僕らは、多くの「雨具」を準備し、たくさんの手間をかけて荷物を運ぶ。それが当然であると思っている。
 ところで、僕らが一番大切に運ばなければいけない荷物は何か。もちろん、僕ら自身である。確かに、音響卓を濡らしてしまって、本番で突然音が出なくなったら困る。しかし、CDラジカセで音を出すこともできるし、音なしでもあるいは舞台は成立するかもしれない。灯体が濡れて本番中に球が割れたら大変だけど、どんな明かりの中でも芝居は進行する。別に進行しなくたって、土下座して謝って失う命なんてない。だけど、そういった工夫も根性も誠意も、僕らあればこそなのだ。

 ミュージシャンが楽器の手入れをするように、野球選手が愛用のグローブを磨くように、大工さんが自分のカンナを砥石で研ぐように、僕らは自分自身を大切にしなければならないのだ。それがたとえば、「たぶん大丈夫」と思う時でも一応折りたたみ傘を忍ばせることであり、それは僕らが公演に行く時、最後に「雨具セット」を積み込むのと同じことだ。「このくらいの雨なら平気」と思う時に傘をさすことであり、それは万が一のことがあったら大変だとCDプレイヤーをビニール袋に包んで運ぶのと同じことなのだと思う。

 まして、一緒に何かをやっているチームである以上、自分自身のかけがえのなさは、単に自分自身にとってだけというわけではないはずだ。先日テニス関係の人の話を聞いたけど、大会よりかなり前にペアを決めて登録し、登録したら変更が認められないこともあるという。ペアの片方が体をこわしてしまったら、当然ペアを組んでいる人も大会に参加できない。欠席とまではならなくても、体調不良で思うようなプレーができなければ、今まで一緒に努力を重ねてきた相手の人に取り返しのつかない悔いを残してしまう。厳しいなと思うけど、考えてみれば演劇だって同じだ。11人で計画を立てれば、その11人がベストの状態でなければ絶対に悔いが残る。自分の健康は、自分だけのためではないのである。

 先日僕は、「体調が悪くなるには悪くなるだけの理由がある」なんてことを言った。それが単に「傘をささない」とか「傘の準備をしない」とか言うことだけであるならそれだけのことだけど、それに象徴される何かがあるような気がしてならない。大切なものは、一見どうでもいいと思うようなたくさんのもの、当たり前ような日々のことに支えられている。一見どうでもいいと思うような小さな何かを大事にしなければならない。当たり前のような日々の中での、ひとつひとつの気配りや意識が、本当に大切なものを守っていることを忘れてはいけないのだと思う。

 もちろん、ここで言う「大切なもの」というのは、芝居作りとか、部活運営とか、そういうことにとどまるものではない。もっともっと、みんなの人生そのものに大きく関わっている様々なものを含んでいるつもりだ。たとえば、君が風邪を引いてつらそうな顔をしていれば、ただそれだけで心が痛くなる人だっているはずだ。だから、何よりも自分自身の健康を大切にしてほしい。自分自身をいい加減に扱わないでほしい。
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with BACCHUS とは

高校演劇部の顧問として、部員に向けて書いた「演劇部便り」です。演劇づくりに関するマニュアル的なものから組織作りのようなこと、個人的な想いを書いたものまで内容はさまざまです。一応ジャンル分けをしていますが、特定の項目についてお知りになりたいときには、単語で検索をしていただいた方が、興味ある情報を見つけやすいかもしれません。

2期に分かれています。第1期は2002年9月から2009年3月まで。少しでも高いところに登ろうと必死で自らを鍛えていた演劇部でした。「with BACCHUS」の内容もわりあいハードで、量もとても多いです。第2期は2013年から書き始め現在進行形です。動き始めたばかりの演劇部、演劇初心者がほとんどの部員たちにわかりやすいように書いているつもりです。

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